部品を作る(3Dプリンター)

部品制作

ドローンとしてボートや車を作る時、「模型」と言っていいのか疑問を持っています。
模型ってタミヤのレーシングカーや第二次世界大戦当時のメカメカしい兵器を組み立てて、できるだけ本物に忠実に(写真に撮ってもリアリティのある)カラーリングなどをするものをいうイメージをもっています。

いつも表現に苦しむのは、仮にドローンと呼んでいますが、模型ではなく、それなりの仕事をするものです。

しかし模型の世界で流用できるものはとても多いです。
テストに使っているキャタピラーの車体なんて模型用に作られたのだろうなと思いますし、ラジコン用のコントローラー、モーターなどもドローンの世界では流用されています。

3Dプリンターで模型を作る例はとても多いです。フィギュアと呼ばれる人形、想像の世界の建物などが作り出されます。

3Dプリンターでできること、できないこと

ドローン制作で、なぜ3Dプリンターを使うかというと、自分がほしい部品を作りたいからに他なりません。
部品は図面をひいて、一品物を作ってくれる業者さんに渡す方法もありますが、安くて2万円くらいから、あとは天井知らずです。
ましてや試行錯誤したり、少量でいいのであれば、3Dプリンターはいい解決策となります。

似たような話は過去にもありました。
電子機器にほぼ必ず入っているプリント基板は20年くらい前はCADも高ければ製造委託費もとても高価でした。
まさにインターネットの普及と共にノウハウが共有され、プリント基板用のCADはいまやいたるところにありますし、製造委託も海外に発注すれば激安です。
同じことが部品でも起きているということです。

素晴らしいことなのですが、実際に動くものの部品を作る時に、模型にはない特性を考えねばなりません。

それは「強度」です。世の中の部品は金属を削る、曲げる、溶接することで作られたものか、プラスチックを射出成形したものがほとんどです。
これらは量産が簡単だということもあるのですが、肝心な強度が十分に出せるから選ばれた製造方法です。

3Dプリンターの陰に隠れていますが、CNC工作機というものがあります。これも実はポピュラーです。

 

3Dプリンターそっくりで、プラスチックを出す装置がついているのか、刃物が回転しているかが違うだけです。
実際、3Dプリンター、CNC工作機両方できる機器もあります。

CNCは材料を形になるように削り出す機器です。
削り出すため、部品としては強度があります。(ものすごくうるさいですが!)

一方、3Dプリンターは材料のプラスチックを溶かして積み重ねることで形をつくっていきます。(FDM方式といいます)
そのため、どうしても強度は弱いです。
少しでも強度をあげるためには、ピッチを小さくして十分溶けるようにし、使う材料の密度をあげます。
3Dプリンターにはもうひとつ光造形方式がありますが、なんせ材料が高い、めんどくさい、強度が出ない、性質上、紫外線に弱いので部品づくりには向きません。

FDM方式(プラスチックフィラメントを溶かして積層してモノを作る方法)もいろいろな材料があります。もっともポピュラーなものがPLAです。
その次に使われているものがおなじみのABSです。ただし、ABSの加工は250度以上でないといけないので、使える3Dプリンターは限られます。

PLAでもカーボンファイバー入りは強いそうです。使ったことはありませんが、PLAが脆いので、欠点を補ういい考えだと思います。
ノズルが削れる(当たり前)、ある程度太いノズル(0.6mm以上)でないといけないといった注意点があります。

いろいろあるので適材適所ですが、基本的に3Dプリンターで作るものは、あまり力がかかるところに使うことはできません。エンジンやモーターを支える部品を作ることはオススメしません。なにかを組み合わせるか、CNCなどで削り出す方法がオススメです。(やってもいいけど不安材料になります)
船体のフィンのような制御系や軽いものを取り付けるための部品などに限ったほうがいいでしょう。

設計道具

3Dプリンターを動かす前に、望む形の図面を作らねばなりません。
設計に使うソフトウェアは3D CADと言われるジャンルです。
ソフトウェアとしては、Fusion360が圧倒的に有名ですが、他にもBlender, FreeCAD, TinkerCADなどがあります。

たしかにFusion360は機能がたくさんあり、他の商用CADソフトに比べたらとても安価に使えます。
そのためユーザーも多く、ノウハウがネット上で簡単に入手できます。

しかしちょっとした部品を作るだけでも知っておかないといけないことがとても多く、他のことをいろいろとやっていると覚えきれません。
筆者もFusion360は5年前に講習会に行って習ったのですが、今はほとんど覚えていません。残念。
さらに商用で使うなら、安いとはいえライセンス料を払う必要があります。

製造元のAUTODESKは、そのあたりの事情を理解してくれているようで、無料で使えるものにTinkerCADというウェブ上で使えるCADがあります。
これは子供でも使えると言われるくらい簡単ですが、多くの形から造形された人形を作れるほどの機能をもっています。

FreeCADは基本が円柱と角柱で、それを変形することで望む形をつくっていきます。
考え方は理解できますが、ちょっと作ろうという時に知っていなければいけないことが少なからずあり、やはり気軽に扱えるものではありません。

ということで図面を作るならTinkerCADを推奨します。
部品を造形する時に単純な形ほど強度はあるので、TinkerCADで表現できるくらいで十分だと考えます。
また、複雑なものは分割して作ったらどうだろうか?と考えるべきです。後述しますが、接着は可能です。

TinkerCADは簡単なだけに説明しているブログやYoutubeは多く、好みのコンテンツで簡単に勉強できます。

すでに誰かが作っているかも

これも3Dプリンターならではの利点です。
たとえば、当社で使っているスラスターBlueRobotics T-200はガードがありません。
そのため、テスト中に藻や海上浮遊物を吸い込んでしまい、それを取外すために分解が必要になることもあります。

例えば”bluerobotics t-200 trash guard 3d print stl”などで検索すると、かなりいい部品を見ることができます。私はこれを作ってみました。

どなたかの知恵を、こちらで再現できることが3Dプリンターのすごいところだと思います。

3Dプリンター

私は5年前に3Dプリンターを数台買ってみて、かなり使ってみました。
なんとか実用にしたかったので、いろいろやってみましたがハードウェア自体の作りが荒いため不安定で、完成品よりも失敗品のほうががとても多いこと、ひとつ作るのに数時間かかること、で途中で使うのをやめました。

大事な考慮点のひとつに、3Dプリンターはハードウェアだけで成り立たない、ということがあります。
プリンターをドライブするプログラム、3Dプリンターに送るコマンドのリストを作るスライサーと呼ばれるソフトウェアなどの総合力でできあがっているものが3Dプリンターです。
(さまざまな技術を組み合わせて動かすという点はドローンに似ていますね。)

自作や安価なプリンターだと必然的にオープンソースに頼ることになります。
3Dプリンターの進歩に大きな足跡を残したRepRapプロジェクトがあり、多くの3Dプリンターが影響を受けています。
そのため3Dプリンターの世界においてオープンソースはマイナーではありません。高度です。
しかし、もっている機器用にチューニングすることは、かなりドライバーソフトウェアのことをよく知っていないといけないです。時間がかかります。

現在、そこそこの値段のメーカー製は精度が高いので組み立て済み、自動調整となっていて、使う人は若干のパラメーターの調整だけでいいようになっています。
だんだん、車のようになっています。

今回、私はAnkerの子会社のAnkerMakeがクラファンで大人気になったm5を選びました。
ネットをいろいろ見ているとマニアほど評価が低いようです。これはよい傾向で、今まで売られていた3Dプリンターより大幅に進歩していて安価なため、従来機種をすでに購入した人にとっては、ねたましい存在だからこそ、いろいろケチをつけます。
一方、従来機種に思い入れのないマスコミの評価はとても高いです。
なにしろ自動調整、AI機能搭載、従来の数倍の速度がウリでギリギリ10万円しないのですから。

Ankerの製品は基本的に頑丈で、これも頑丈です。

 

CADで作ったファイルは原則としてstlファイルにします。
そのファイルを3Dプリンターがそのまま使えるわけではなく、スライサーというプログラムにかけます。
スライサーは3Dプリンターごとに違うコマンドの並びを作り出します。
したがってスライサーソフトが自分の使う3Dプリンターが理解できるファイルをサポートしているのか確認します。PrusaSlicerやCuraが有名どころですが、これまたいろいろあります。

AnkerMakeのこの3Dプリンターは独自のスライサーをもっています。
そこにSTLファイルを読み込み、設定してあればプリンターに直接転送できます。USBメモリーの抜き差しが必要ないことは素晴らしいと思います。
そこから高速でプリントが始まります。
巷ではファンの音がうるさいと言われていますが、申し訳ないですが、広いスペースがある環境ですと、そこまで気になりません。
進捗状況はスマホで確認できるので、別部屋にあっても問題ないです。

接着

複雑な形のものは分割を考えてください。
なにもかも一筆書きでやらなければならないことはありません。

時々、「接着すると強度が下がる」ということを書いている人がいますが、もともと3Dプリンターで作るものは材質によらず、あまり強度は期待できないのです。
ですから、接着することはまったく問題ありません。
少し前まではよい接着剤がなく、PLAを溶かすアセトンと接着したい側を溶かす溶剤を混合して接着するなどという手法がとられていました。

現在は、いろいろありますが、接着剤で有名なセメダイン社のイチオシはSuperX Goldです。

次点でアロンアルファプラスチック用。なぜ次点かというと、SuperXは材料が少しだけ粘性をもっているのでショックに強いからです。アロンアルファは硬いのでショックに弱いという物理特性は避けられません。

ヒートガン

意外に知られていないようですが、プリンターから取り出したらヒートガンであぶるといいです。
理由は表面のザラザラが溶ける、サポートをはずすのがラク、強度があがる、からです。

やりすぎると溶けるので注意が必要ですが、やばい薬を塗るよりは安全かつ安価に済みます。

耐水性をあげることにもなるので、やっておくべきです。

接着が必要な場合、すべて組み立ててからやることをお勧めします。

最後に

3Dプリンター専門のブログやウェブサイトがあるとおり、語り尽くせるものではありません。
が、ドローンのパーツを作るという目的から、3Dプリンターの適用範囲や部品づくりで盲点になりやすいことを書いてみました。

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