ArduPilotとはドローンの自動運転コントロールソフトです。オープンソースであり、すでに10年くらい開発され続けています。
主だった開発者のひとりが日本に住んでいる(日本人ではない)というのも関心をひいているようです。
およそ自動操縦に必要なものはほとんど揃っているので、ユーザーは開発者よりも使ってなにかしたい人のほうが多いようです。
なにをかくそう筆者はArdupilotの技術者養成塾を出ました。
参加した理由はArdupilotはプログラムが多すぎて、なにがなんの役割なのかさっぱりわからなかったからです。
養成塾では期待どおり、順序だてて教えていただいたのでとても効率がよかったと思います。
そこで教えてもらったことが、ドローンの技術者は本当に少ないということでした。
塾のコースがそのまま、ドローンを扱う人のジャンル分けになっているのでご紹介すると、オペレーション、アプリケーション、デベロッパーにわかれています。
世の中の圧倒的多数の人はオペレーションをやっています。
ニュースを見ているかぎり、ほとんどがラジコンのような使い方をしているようです。
GPSを利用した自動運転をやっている人々はメーカーにいるようです。
技術はクローズドなので、なにをどのようにやっているかはわかりません。
この塾でいう、アプリケーションとはドローンの運転プログラムを書くことだと考えるとはずれていないと思います。私もドローンを運転するためのプログラムを開発中です。
デベロッパーは機体制御プログラムそのものを改変、開発することです。ドローンの機能は日進月歩で機体同士の衝突はリリースされていますし、塾に参加していたころの話題は空母に着陸するヘリのような動きをさせることでした。これ、ちょっと考えたらタイヘンなことで移動している船の上に着陸するには、ぎりぎりまでドローンは横に飛んでないといけないわけです。
風が吹く中、一定の場所にとどまるなんてことは、とっくにできています。
Ardupilotというソフトウェアの存在意義がご理解いただけたでしょうか?類似のオープンソースには米軍が採用しているPX4, ドローンレースでよく使われているベータフライトなどがあります。
制御プログラムを入れるフライトコントローラー自体も基本的にオープンソースハードウェアです。
オープンソースといえどもコントローラーは安くありません。
コミュニティで聞いて、今、イチオシのCube Orangeを購入してみましたが約7万円しました。
確かに高性能ですが、現在、弊社ではもっとも流通しているPixhawkを使っています。
世の中ではドローンをビジネスに活用しようという動きが盛んです?
が、ちょっと待て。
この人達が考えている「ドローン」とはこれですよね?
先のArduPilotは実は様々な形のドローンに対応しています。
- 飛行機型
- ヘリコプター型(たぶん、これがみんなが考えているドローン)
- 車型(ボートをふくむ)
- 飛行船型
- 潜水艦型
技術上、これらはすべてドローンなのです。
無人で運行する移動体です。
ところで日本は海に囲まれた国なのに、漁業にはまったく関心がないようです。
第一次産業へのかかわりというと、土の上で横並びで農業を取り上げる例ばかり見かけます。
自然派志向などの記事や本でも農業ばかり。
すごい違和感があります。おそらくヨーロッパあたりの考え方をそのまま展開しているから漁業に考えが至らないのではないでしょうか。
漁業は海が相手ですから技術的には飛躍的に難しくなります。それもチャレンジしようとしない理由かな、と思います。
では船の自動運転はどこまでできるのでしょうか?
最近、私がもっとも強いインパクトを受けた記事がこれです。
カリフォルニアからハワイ、さらにその先へ進む無人自律ボートを作って得た体験
個人で作った2メートルそこそこの船がカリフォルニアからハワイに到着しました。ハワイからニュージーランドへ進んでいる時、もう少しのところで壊れたということです。
ビジネスとか考えずに「おもしろそうだからやる」というだけで壮大な物語が広がっています。
時間があれば、ぜひ、読んでみてほしい物語です。
メイカーという人間の考え方をご理解いただけたら、うれしいです。
「うみねこカンパニー」は厳しい海の自然に、漁師と共に立ち向かいたいと思います。
近いうちに、石巻から沖縄までドローンを走らせたいと思います。