高出力電池

ペリフェラル
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ドローンはモーターを適切にドライブすることが最終目標です。
Ardupilotでの電源モニターについてはArdupilotの電源管理にあります。

モーターにもよりますが、実用レベルだと30Aや50Aがごく普通に扱われます。
モーターに推奨のESCがあり、それが何アンペアまでOKか仕様書に書かれているはずです。

電池の種類

その電力を発生させる電源がこの稿の話題です。
空を飛ぶマルチコプター、飛行機タイプのドローンの場合、少しでも無駄な負荷を減らすために、現在はリチウムポリマー電池一択です。
しかしリチウムポリマー電池はトラブルが多い繊細な電池です。ニュースにはなりませんが充電中の爆発はしばしば起きています。リチウムポリマー電池の充電中は絶対に留守などにせず、トラブル対応ができるようにしておいてください。

一方、船や車の場合、あまり重量を気にしないのでLFP (リン酸鉄リチウム)電池を使うことが多いです。とくにポピュラーなものが18650といわれる単三電池より大きい電池です。
これはソニーが決めた規格のようです。一個が3.7V 2,300~3,600mAhのものが普通です。
中国製で極端に大きい値を示したものがありますが、嘘ですから注意してください。

バッテリーパックについて

さて、18650電池の充電については多くの記事がネットに掲載されています。
ほとんどがBMC(Battery Management Circuit)をつけて充電しろ、という当たり前の話です。

問題はここからでドローンで使う場合、電池から30Aの電流を取り出す必要があります。
電池の性能の議論も大事ですが、もっと重要な問題は配線です。

電池は通常、電池ボックスなどに入れて使われます。しかし、この電池ボックスの金具と電池はほとんど点で繋がっているといっても過言ではありません。しかもそこからの導線も一般的にはとても細いものです。

スマホ程度ならば、これでOKで問題はないように見えます。

今、14.4V(3.7Vx4)で、3セル(3個並列)のバッテリーパックを考えます。
なんとなく電池のレイアウトを決めると下図のAのようになると思います。
なぜならば、4本を直列で入れられる電池ボックスを使うとこうなるからです。

 

私自身の失敗ですが、Aの配線でモーターを回すと、列のどれかの配線が火を吹きます。
理由は電線が細いこと、電極との接触も細いため、配線か接点が発熱します。電圧が最も高い列から大量に出力され、他の列はほとんど使われないことになります。均等に使われないのです。

出力電流が大きいので0.1Vでも大きな違いとなると考えてください。

そのためいわゆる電池パック(例えば、3.7Vx4 = 14.4V)はBのような配線になっています。
並列に束ねられ、電極はステンレス板が電気溶接されています。これで面接触になっているので大出力に耐えられます。

 

束ねたグループをBMSと接続できるようにして、電圧をあげていきます。

ここまででおわかりかと思いますが、18650を集めて自分で電池パックを作り出すのはかなり面倒なのです。
個別に安全装置がついている乾電池タイプだとさらに始末に終えません。
興味がある方はこのサイト(英語)を御覧ください。18650で電池パックを作る専門サイトで、さまざまな注意事項が書かれています。

また、中国でこんなバッテリーパックのキットもあります。


BMS基盤が付属しているところはクールですが、電線は自前で用意しなきゃいけません。
また、電極の溶接が必要なことにご注意ください。

ただし致命的な点があります。
こういうキットに付属しているBMSの性能があまりよくないのです。
充電時のセルの不均衡も直せないし、出力時に均等に出力を管理できるわけでもありません。
せいぜい充電時の電流制御ができている程度です。

メーカー製のバッテリパックはほとんど発熱しないところから、高度なバッテリー管理をやっているようです。

市販品は10,000円から12,000円ですから、18650バッテリーを集め、ケースキットを調達して、スポット溶接で自作してもあまりコストパフォーマンスに差があるとはいえません。

 

これは自作してみた途中の写真です。金属板を電池にスポット溶接するところです。

電池の容量で重要なこと

さて、容量の多いバッテリーは少量のものと比べて大きな違いがあります。
単純に容量が多いだけではなく、瞬間に取り出せる電流が多いのです。
つまり、モーターのような大電流を流す場合、使用時間が短くても大容量バッテリーのほうが発熱しにくく、安定して動作するのです。
これはマルチコプターでも船でも同じことが言えます。できるだけ容量の大きい電池を使用してください。

そして充電時は電池が許している半分のCくらいで充電して発熱しないようにしてください。

以上、電源電池のお話でした。

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